【14】「歩数減少につながる痛みどうしたらいいの?」

はじめに

痛みがでてきたときに、まずすべきことは診断のためにお医者さんに診てもらうことです。これは痛みが、がんや手足が動かなくなる病気など重大な病気と関連した痛みの場合もあるからです。命にかかわらなくても、専門的な治療を必要とする病気がかくれていることもあります。まずはお医者さんによる診断がとても大切です。
ここでは、お医者さんによる診断の結果、こわい病気、特殊な病気がないですよと分かったあとのお話として読んでください。

怖い病気がないという診断はあなたのこころを軽くします

お医者さんに診てもらうと、お医者さんは痛みの原因ががんなどの重大な病気ではないかということを考えて診察をします。その結果、そのような病気はないですよとなれば、素直に喜んだり、感謝したりしてください。人間は痛みを自覚すると、口には出さなくても怖い病気による痛みではないかと思っていたり、無意識に感じているものです。無意識の不安がなくなれば、痛みがあまり気にならなくなることもあります。

怖い病気が見つかった場合もよかった面があります、なぜでしょう?

どこかに痛みが出てきたのをきっかけにお医者さんを受診して、怖い病気がみつかりました。この場合、病気になったことは残念ですが、早く病気を見つけられたことはよかったです。もしもすぐにお医者さんに行っていなければ、怖い病気の診断が遅れていました。
この時、早く診断にたどり着けたという良い面があります。でも病気になったという残念な面もあります。この二つとも意識するか、よかった面だけを意識するか、残念な面だけを意識するか、人それぞれですが、残念な面だけに目をとられやすいのが人間です。ですので、よかった面を意識することを忘れないようにしましょう。

痛みがあっても歩数が減っていなければ、喜んでください

重大な病気がないですよと分かったあとのお話にようやく入ります。
痛みがあると、痛みがない状況にしたいと、誰もが思うことです。しかし、そもそも痛みは、人間にとってとても大切な「危険通知係」のような側面を持っています。足の裏の切り傷が開いているけれど危険通知係がサボっていると、平気で切り傷のまま歩きまわってばい菌が入ったり傷が治りにくくなったりします。痛みのすべてが悪者ではありません。

ここでは、お医者さんにかかって痛みは重大な病気が原因ではないですよと分かったあとのお話です。
そのなかで次に考えるのは、痛みのために身体活動量、1日歩数が減っているのか、減らずに生活できているのかです。
身体活動量や歩数が減っている場合、高齢の方はすぐに筋肉を失ってゆきます。要介護や寝たきりの方向に近づいてゆくということです。

一方、身体活動量や歩数が減っていない場合は、筋肉を失うことはありません。要介護や寝たきりの方向に近づく心配はないということです。

要介護や寝たきりになりたくないという思いはほぼすべての高齢者が持っています。その点で、身体活動量や歩数が減っていない痛みは、痛みがあってもその心配はありません。

最初に、怖い病気がないことを確認し、次に身体活動量や歩数が減っていないことを確認できれば、大きな不利益はないということで安心して、人生を楽しむことに意識を向けてゆきます。

痛みで歩数が減っているときは、どうするのか

考え方はとても単純です。痛みはとる(痛みを0にする)のではなく、歩数や身体活動量が少し増えるところまで、痛みを和らげるとよいということです。

10あった痛みが7くらいに少し良くなるだけで少し身体活動量・歩行量が増える場合も少なくありません。ここで大切なことは急に身体活動量を上げすぎないことです。使いすぎによる痛みの原因になります。身体活動量・歩行量が少し増やせる程度でゆっくり時間をかけることが大事です。
少しでも身体活動量や歩行量が増える方向になると、次第に痛みは改善してゆきます。脳での感じ方が変わることや次第に筋肉が戻ってくることが関係していると考えられています。

まとめ

年齢とともに身体活動量、歩数が減る、大きな要因が「痛み」です。
身体活動量・歩行量が減る痛みは、歩数や身体活動量が少し増える方向になるところまで、痛みを和らげるとよいということです。