【16】「歩行量が減る意外な原因」

【16】「歩行量が減る意外な原因」

2021.10.28

はじめに

ブログ13で「どうして歩数が減るの?」、それは痛みです、生活に支障をきたす痛みだけでなく、生活に支障を感じていない痛み、一時的な痛み、歩く量を減らせば生じない痛みも、歩数が減る原因となることをお話ししました。今回はそこでは触れなかったとても大切なもう一つのお話です。

靴です。

靴を買う際に考えてよく確かめて選んでいますか?
結婚式やお仕事などの場に合わせた靴、服に合わせた色やおしゃれなデザインとか大切です。

しかし、その前にもっと大切なことは歩きやすい靴を選ぶということです。「歩きやすい靴」と確かめる際に知っておくと役立つ知識と考え方の5つを説明いたします。

① ひも靴かマジックベルトの靴を選ぶ
② 靴のサイズ
③ 靴の履き方
④ 両足履いてその場で歩いてみて4つのチェック
⑤ たくさん歩いてみたら失敗だらけ、靴にはお金をかける

①ひも靴かマジックベルトの靴を選ぶ

靴はひも靴かマジックベルトの靴で足長(足のゆび先から踵の後ろまでの長さ)より少し大きめのものを選び、踵と足の甲の部分でしっかりと固定して靴の中で足が前後左右上下に動かないようにします。

学童期に上履き(ズック、ひも靴ではない靴)を履いたことは誰でもあるかと思います。その際の靴のサイズは足長に合わせていました。その経験が多くの日本人の脳に深く刷り込まれたためか、靴はまず足長に合わせるという方も多いですが、実はこれはおすすめではありません。

靴の中で足が動かないようにするということは歩きやすくするうえで絶対に必要です。

その方法として、足の趾(ゆび)や変形足の突出部を靴に当てて固定する方法と、靴ひもやマジックベルトで踵と足の甲の部分で固定する方法があるということです。
足の趾(ゆび)や変形足の突出部を靴に当てて固定する方法は、当然ですがたくさん歩きますと、靴の内側にあたっている趾(あしゆび)や骨の突出部が痛くなったり、皮膚に傷がつく原因となります。
ですので、歩数を増やしたい方や足の変形のある方はひも靴かマジックベルトの靴を選びます。
マジックベルトは斜めのものもありますが固定性が悪く歩数を増やしたい方や足の変形のある方にはお勧めではありません。横方向にきちんと引っ張って固定できるマジックベルトのものがおすすめです。

②靴のサイズ

変形のない足の場合は、足長より1cmあるいは指幅1本分大きいサイズを選び、趾(あしゆび)が靴の内側に当たらないようにします。5本の趾(あしゆび)がゆったりと過ごせる空間を作るのです。

関節リウマチなどで趾(あしゆび)に変形のある方は、高さも含めてより大きな空間がないとすぐに靴の内側に変形した趾(あしゆび)があたりますので、足長より2㎝以上大きいサイズを選ぶとよいことが多くなります。わたくしは患者さんに5人家族の趾(あしゆび)が変形していてもゆったり暮らせる空間をつくってあげるのですよと説明しています。

たくさん歩く、あるいは早く歩く、大きな歩幅で歩くように歩き方や量の変化により、趾の当たり方も変わります。歩数が増えたり、身体機能が改善しますと趾(あしゆび)があたるようになったり、関節リウマチの方では足底に「たこ」ができるようになることもしばしばあります。歩行機能が改善した方だけが経験できるトラブルですので喜びのトラブルといえます。それぞれの状況にあわせて、靴のサイズを再調整したり、中敷きやフットケア(足の専門的知識と技術を持った方が足のいろいろな処置をすること)や手術といった様々な方法でよい方向に向けることができます。

靴の問題で歩数が増やせなくなることはとてももったいないことです。まずは靴に問題ないかをしっかりと見張っておいてください。

③靴の履き方

1) 靴ひもやマジックベルトを緩めます
2) 靴を履いて踵(かかと)を靴にしっかりとフィットさせます。椅子にすわって踵をトントンとするとやりやすいです
3) ひもを足の甲の部分でしっかりと締めます。マジックベルトの場合は、靴の甲の両側をしっかりと寄せて留めます。紐靴でサイドチャック
  のついている靴の場合も、靴の甲の両側をしっかりと寄せてチャックを締めます。
  締める際の足の位置は、足を下に垂らした状態ではなく、足首が直角か、少し踏み込んだような位置くらいがまずはおすすめです。
4) 靴をきちんと履いた時点で、趾(あしゆび)部分に空間(ゆとり)があるか、靴を外から押してみて確認します。
  また足の変形の突出部が内側から靴に当たり靴の形状を少しでも変化させている場合はサイズ調整が必要です。

④両足履いてその場で歩いてみて、4つのチェック

1) 踵(かかと)に靴がくっついてきてくれているかどうかをみます。踵が靴から離れる感じがあればアウトです。
  靴が踵をしっかりとわしづかみにしてくれている感じであるととてもいいです。
  踵(かかと)が靴から離れる感じがある場合は、靴のサイズ(長さや幅)が大きすぎるか、靴ひもやマジックベルトの締め方が緩いかを
  確認して調整します。まれに靴の底が固すぎる(極端な例で説明しますと下駄をはいているような状況)こともあります。
2) 靴の中で足が前後左右に動いていないかを確認します。
  これも靴のサイズ(長さや幅)が大きすぎるか、靴ひもやマジックベルトの締め方が緩いかを確認して調整します。
3) 趾(あしゆび)のどの部分も靴の内側に当たったりこすれたりしていないか、趾から甲にかけて全体的に圧迫感がないかを確認します。
4) くるぶしに靴の履き口のへりがあたらないかを確認します。

⑤たくさん歩いてみたら失敗だらけ、靴にはお金をかける

これまで説明いたしました靴の選び方を一所懸命して、ようやく選んでお金を出して購入した靴で1週間2週間歩いてみると、どこかあたって痛くなったりすることは非常によくあることです。つまり、どれだけしっかり選んでも、たくさん歩くことで生ずる問題のすべてを予測することは不可能とあきらめるしかありません。歩き方や歩く量、生活様式は人それぞれ違います。5mや10mの歩行だけで判断できると思う方がおこがましいとも言えます。
この限界をはじめから必ず織り込み済みにしてください。そんなものなのです。

私自身の靴の選びでもこの20年間たくさん失敗を積み上げてきました。15年以上前になりますが、ビジネスシューズで歩きやすいものをしっかりと確認したうえで様々なものを購入しましたがたくさん歩いているとどこかに問題が出てくることのくり返しが続きました。最終的にはAsicsのペダラpedalaかランウォークrunwalkという見た目はビジネスシューズで中身はウォーキングシューズがフィットし、15年以上同じものを買い続けています。当初合わなかった靴はあまり履くことなく捨てることになりますので、お金がかかることになります。これは必要な初期投資と考えることが大切と思います。

買ったけれどもたくさん歩くと痛みが出る靴でももったいないと思う気持ちではきつづけるのが人情です。「サンクコストバイアス」と呼ばれている誰しもにある人情ですが、これで歩行量が減ったり増やせなかったりすることは人生100年時代には大きな損失になります。

はじめから、「靴はたくさん歩いてみたら失敗だらけ、靴にはお金をかける」という気持ちで履きやすい靴を見つけてください。見つかればあとは同じものを購入し続けることでうまくゆきます。

まとめ

靴は、歩きやすい靴を選ぶことが最も大切です、次におしゃれです。
でも見方を変えますと、歩きやすい靴を履いて、歩く姿がよくなればそちらの方がおしゃれにもつながります。ぜひ歩きやすい靴を選んで歩行機能とおしゃれとの両方を目指してください。

次回、「歩き方もちょっと考えてみましょう」を説明します。

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