【10】「80代90代になっても生活を楽しめるために」 -誰でもできる「こころが元気になる」4つのこと―4つ目つづき

与えることでこころにわいてくる幸せ

幼稚園や小学校1-2年生のときに、与えることでとても幸せな気持ちがわいてきたという経験を思い出せる方はそう多くないと思います。「与えることでこころにわいてくる幸せ」というものは与えるものがない時期にはあまり機会がないものです。成長とともにあるいは齢を重ねるとともに機会が増えてゆく幸せです。人生の早くから経験し記憶に残りやすい幸せよりも後から経験することになるので見落とされることがあります。
また、ガツンとしたわかりやすい幸せではなく、気持ちのいいそよ風あるいは和かな日差しのような幸せなので経験として頭に残りにくく、意識しておく必要があります。
ですが、こころを元気にするために必要なこころの幸せを考えるうえで、最も重要なものです。

わかりやすい事例を探すと、ボランティアに参加した際の充実感や、人を助けようとしているときに力がわいたというような「こころの元気」がこれに当たると思います。与えることでわいてくる幸せによるもので、「こころの元気」につながります。人間の欲の中で、食欲よりも性欲よりの強いといわれる「承認欲」を満たす幸せに通ずるものと思います。それも他人からの承認ではなく、自分が承認する、あるいは天から承認されたというような、こころの動きの中での承認欲の充足で、より深く持続するあるいは繰り返せる幸せだと思います。

日常生活の中であれば、地位や財産がなくてもできる「施し」という言葉がわかりやすいと思います。思いやりのこころ、優しいまなざし、あたたかい言葉、席を譲る、手を貸してあげることなどです。気持ちのいい新鮮なそよ風のような幸せで気づかないかもしれませんが、こころが元気になる栄養素のようなものです。
地位や財産を持っている方はもっといろんなことを与えることができます。機会を与えたり、寄付をしたりです。齢を重ねた方もいろいろとできます。物や知恵などいろんなものを若い世代に譲っていく、伝えていくという与え方です。

「与えることでこころにわいてくる幸せ」に関して、注意すべき大切な点があります。逆をすると、つまり物でも機会でも、奪ったり、取り上げたり、独り占めしたりすると、逆の結果、不幸せな感覚がわいてきてこころの元気はなくなる方向にゆくということです。そしてこれも同じように持続性と繰り返し性があると思います。ちょっと注意しておきましょうね。

まとめ

「与えられることがもたらす幸せ」、「自分にできることが増えていくことで感じる幸せ」というよく知られた幸せだけ求めていつもこころが元気になることは難しいのです。「与えることでこころにわいてくる幸せ」を忘れないように意識してみてください。こころは必ず元気になってきます。

次回は、病気や加齢で身体機能が落ちている方の運動についてです。