はじめに
一度しかない人生ですが、人生100年時代と時間的には長くなっています。感情の動くままに過ごせば、こころが元気を失う悲しいことも、こころが元気になるうれしいことも、流れになすがままの落ち葉のような人生になります。
ここではいつも人生を楽しめるように、あるいはこころが元気になるための、誰にでもできる4つのことを紹介します。
ひとつひとつは多くの方が一度は聞いたことがある内容かもしれませんが、改めて4つをまとめて意識してください。
① 感謝して喜ぶこと。ありがたさを意識する。
② 過去のこと、まだわからない未来のことを今に持ち込まないで切り捨てる。
③ いつも言葉を選んでどんな時もプラスになる言葉しか口にしない。(声に出さない)
④ 与えることを心掛ける。
の4つです。
①と②はものごと・できごとのとらえ方として意識してください。③と④はご自身の行いとしてとらえてください。
「なぁんだ聞いたことあるよ」という方も、「そんなことできないよ」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。どんな方もこの4つをうまく利用できるように5回シリーズで説明させていただきます。今回はその1回目です。
人間にとって難しいこと
こころとからだは分けられるものではありません。みんなこころとからだは一緒に活動しています。大きな雷が鳴れば誰でも「怖い!」と感じて身をすくめますし、初めて大勢の人前で慣れないことをうまくやらなければという場面では緊張して胃が痛くなることもあります。私も若いころ初めての大きな学会発表の際に胃がキリキリした経験があります。この怖い、緊張するという感情は初めての時に簡単にコントロールできません。悲しい、腹が立つ、悔しい、嬉しいなどの感情も、装うことはできてもこころの中の感情は簡単にコントロールすることが難しいものです。
感情の動きやからだの反応をいきなり「えいやっ」と変えることは人間にとってとても難しいことなのです。
私はこれを変えようとしませんし、できるとも思っていませんので、意識しないことも多いですが、「あっ、今緊張しているな」とか「今、腹を立てているな」とか、他人事のように見るようにしています。
誰にでも簡単にできること一つ目
「夜空にならぶ星が何に見えますか?いろんな風に自由にとらえてみてください」と学校の先生に言われて、「難しい、何にもわからん」という方はあまりないのではないでしょうか。ハエに見えるよ、机に見えるよ、鳥に見えるよ、など自分でとらえ方を自由に決めることはそれほど難しいことではありません。「では、夜空にならぶ星が何に見えるか昆虫の何かにとらえてみてください」と言われて、トンボだ、蝶々だとか意識的に昆虫にとらえるのも難しいことではありません。
こんな風に、とらえ方をコントロールすることは人間にとって実は難しいことではありません。
人生の中で出会ったものごと・できごとを「いつも感謝を持ってとらえるようにする」と決めることもできます。
また人生の中で出会ったものごと・できごとのとらえ方を、昔の終わったことやまだ見ぬ未来のことと結びつけないというルールに決めることもできます。
誰にでも簡単にできること二つ目
郵便局への道を教えてくださいと、駅員に尋ねて「前の通りをまっすぐ行って一つ目の角を右へ曲がればすぐにみえます」と言われました。そして郵便局へ向かう際に、右へ曲がるのがとても難しい、どうしても左へ曲がってしまう、という方はいないと思います。目的地に向かうための「行動」を自分でコントロールすることは人間にとって簡単なことです。
言葉の選び方や与えることを心掛けることは、郵便局へ向かうのと同様に難しいことではありません。
まとめ
① 感謝して喜ぶこと。ありがたさを意識する。
② 過去のこと、まだわからない未来のことを今に持ち込まないで切り捨てる。
この2つは、「夜空にならぶ星が何に見えるか、昆虫の何かにとらえてみてください」ということと同じようなものです。
人生で出会ったものごとのとらえ方ルールとして決めておけばとても役立ちます。
③ いつも言葉を選んでどんな時もプラスになる言葉しか口にしない(声に出さない)
④ 与えることを心掛ける。
この2つは、郵便局に向かうという目的があれば、駅員さんに教わったように右に曲がるというのと同じです。目的を決めておけばできる行動のコントロールです。
実は、この4つは人間にとって簡単なことなのです。
逆に人間にとって難しいことは自然に生ずる感情やこころの動きをはじめから抑え込んだり変えたりすることです。
ものごとのとらえ方とご自身の行いを「こころを元気にする」という目的に向かって変えることは、誰にでもできることなんです。
でも、もう少し具体的に説明が必要かもしれませんので、ひとつずつ順番に説明いたします。
次回は、「①感謝して喜ぶこと。ありがたさを意識する。」についてです。