010 まずはこの3つのバランス、元気の芽です その2

食べることの最も重要な目的はエネルギーを摂ること、というお話を前回しました。エネルギーを摂る際に、エネルギー産生栄養素のたんぱく質、脂質、炭水化物の取り方には知っておくべき優先順位があります。この優先順位について今回はお話します。

栄養を摂ることのもう一つの大切な意味は、体を作っている材料のたんぱく質を補充することです。

筋肉や骨も、お肌のコラーゲンも、幸福ホルモンと呼ばれるセロトニンのような神経の伝達に関わる物質もたんぱく質であるように、体を作っているのは主にたんぱく質です。

脂質や炭水化物を体内でたんぱく質に変えることはできません。体に必要なたんぱく質は、たんぱく質が含まれた食べ物を食べることでしか摂ることができないのです。元気な体を維持するためにはたんぱく質の不足は絶対にさけなければなりません。そのため、たんぱく質には年齢と体格により必要量が設定されています。

また、脂質は細胞の膜をつくったり、重要なホルモンの材料になるなど、エネルギーを作ること以外にも大切な働きをしています。それゆえ、体によい大切な脂質は、これくらいは摂ったほうがよいという推奨量が設定されています。

一方、炭水化物はエネルギーを作ること以外に利用価値はなく、使い切らずに余れば脂肪としてたまるだけです。

こういったことから、エネルギーを何からとるかが重要になります。エネルギーを摂取するための栄養素の重要度、優先順位は1位:たんぱく質、2位:脂質、3位:炭水化物です。

例えば、あなたの1日に必要なエネルギー量が100、エネルギーに換算したたんぱく質の必要量が40、脂質の推奨量が20だったとします。100からたんぱく質の40と脂質の20を引いた残りの40が炭水化物で摂ってよいエネルギーの摂取量です。これ以上を摂れば、摂取過剰となり脂肪が増えます。

何も考えずに先に炭水化物を60摂ってしまうと、お腹いっぱいでたんぱく質の必要量と脂質の推奨量が摂れなくなります。炭水化物を60摂ったうえで、頑張ってたんぱく質と脂質の必要量を食べれば、エネルギー摂取は合計120で過剰となり脂肪が貯まるようになります。

食べ方のコツは、まずたんぱく質の量を決め、次に脂質の量を決め、最後に炭水化物の量を決めて1日の必要エネルギー量が足りるように合わせることです。高齢になるとたんぱく質の必要量は増えますので、このコツをつかんでいない方はたんぱく質不足になってしまいます。

エネルギー産生栄養素のたんぱく質、脂質、炭水化物を、この順序で重要視してバランスよく食べる技を身につけることで、10年後20年後も要介護にならず、ご家族の負担を減らすことにつながります。