011 小さなところもバランスよく食べる、元気の芽です

たんぱく質、脂質、炭水化物の3つの栄養素だけでなく、元気に生きるためには、ビタミン、ミネラル、食物繊維など大切な栄養素がたくさん必要です。

どれだけたくさんあるかを感じていただくために、覚える必要は全くないですが、列挙してみます。

ビタミンはA, D, E, K, B1, B2, ナイアシン, B6, B12, 葉酸, パントテン酸, ビオチン, Cと10種類以上もあり、ミネラルも10種類以上、食物繊維も10種類以上、それ以外にも抗酸化作用を有する様々な栄養素も10種類以上あります。他にも細かくみてゆきますと体に大切な栄養素はたくさんあります。

このようにいっぱいあるんだなあと感じていただくことが大切です。

これらすべてがさまざまな形で体の元気に関わっています。どれもこれも不足しないように食べることが元気の芽です。

そのための方法を一つ覚えておいてください。

その方法は、できる限り多くの食材を食べるということです。どなたも一度は聞いたことがあるかと思います。

これまでも大切なことだったのですが、人生100年時代、これまで以上に大切になっています。要介護になりたくない方は、「できる限り多くの食材を食べる」の基本を身につけてください。

ここで、注意点として理解しておくべきことがひとつあります。

それは「これは健康にいいですよ」と聞いたからといって、それを大量に食べるということは避けてほしいということです。

すべてにおいて適正量というものがあります。健康にいいですよと一般的に言われている栄養素であっても多量に摂りすぎると健康を害します。その栄養素が足りていない方にとっては、それをたくさん摂ろうというのは良い方向に向かいますが、十分に足りている方がさらにたくさん摂れば体には害になります。例えばカルシウムも鉄も多量に摂りすると健康を害します。実際に私の専門外来ではカルシウムの摂りすぎで問題を生じている方を見かけることがあります。

一般的に多くの方が不足している大切な栄養素は、摂れば「健康にいいですよ」という説明は間違いではありませんが、全員に当てはまるわけではないということです。

普段食べていない食材があれば、そこにしか入っていない栄養素が摂れないことになります。偏った食べかたをするとなにかの栄養素が足りないかもしれないということです。

何十種類もの栄養素それぞれが足りているのか足りていないのかを調べて、食べるものを選ぶことは現実にはできません。何が足りていて何が足りていないかが見えない中で、足りていない栄養素をなくす工夫が必要です。

ひとつの栄養素を一所懸命摂るような極端な行動に走らず、できる限り多くの食材をまんべんなく食べましょう。

この基本を身に着けて、10年後20年後も要介護にならないことを目指してみてはいかがでしょうか?