017 幽霊から学ぶこころの整え方、元気の芽です

幽霊の特徴は?と尋ねられると、ほとんどの方は「おどろ髪を引いている」、「手を前に足らしている」、「足がない」、の3つを思い浮かべるのではないでしょうか?

いきいきとしている人でありたい方は、こうなってはいけませんよということを幽霊さんが教えてくれています。15年か20年ほど前に私は青山俊董尼の講話で学びこれまで大変助けられてきました。

「おどろ髪を引いている」のは、過去にしがみついて未練がましく執着する、過ぎてしまったことを心に残している姿を示しています。

「手を前に足らしている」のは、いまだ来ぬ未来に対してとり越し苦労をして、力なくしなだれる迷い手、不安手です。

「足がない」のは、地に足をつけていない、今を生きていないことを意味しています。

過去のことばかりを話す方、みたことありませんか?ひどい目にあわされた話、つらい思いをした話、今考えてもくやしいとか腹立たしいとか、ざまざま話題はあります。逆に素晴らしいことをしてきたこと、頑張ってきたことなど、いいことの話題もいろいろあります。どちらも過去のことばかりを話しているという点で同じ姿です。幽霊さんはこれを「おどろ髪を引いている」姿で伝えてくれています。

過去を考えすぎると後悔やうらみつらみあるいは自慢ばかりになります。そうするとどうなるでしょうか?とても残念なことですが、今の事を深く考える時間とエネルギーが減ります。

いまだ来ぬ未来の不安ばかりを話す方、とり越し苦労ばかりしている方をみたことありませんか?幽霊さんはこれを「手を前に足らしている」姿で伝えてくれています。未来を考えすぎると不安になるものです。そうするとどうなるでしょうか?これも同じく、今の事を考える時間とエネルギーは減ります。

そしてとうとう今がなくなってしまった状況を、「足がなくなり、地に足がつけられない」姿で幽霊さんは伝えてくれています。

まだ来ていない未来も、既に終わった過去も断ち切って、地に足をつけて今を生きましょう!それがいきいきと生きている姿ですよということを学ばせてくれるのが幽霊の姿です。

幽霊さんだけが、言っているのではありません!古くは古代ローマ詩人ホラティウスが「Carpe diemその日を摘め」という言葉で、また多くの宗教家もいろいろな表現でその大切さを伝えています。近代では近代医学の父と呼ばれるウィリアム・オスラー先生も「鉄の扉で過去と未来を閉ざし、今日という一区切りを生きる」という言葉を残しています。今を大切にすることは、まず既に終わった過去とまだ来ていない未来を断ち切って、今どう考えて何をするかに焦点を合わせることです。

では、今何をしましょうか?ということになります。答えはいたって単純です、一度しかない人生を楽しむことです。楽しめるコツは、次にお話する「氷山」と「楽訓」からの学びが役立ちます。

注意する点は、幽霊さんのように「おどろ髪を引いて」「手を前に足らして」いて、地に足がついていない「足がない」ときに、次にお話しする「氷山」「楽訓」の教えは十分には役立ちません。幽霊→氷山・楽訓の順番が大切です。

幽霊さんから学び、こころを元気に保つ技を身に着けてはいかがでしょうか?